- みなし残業(固定残業代)ってなに?
- 働かなくてもお金もらえるから得じゃないの?
- なんで避けた方がいいの?
みなし残業(固定残業代)は、簡単に説明すると「決められた残業代をあらかじめ給与に入れる」制度です。
例えばみなし残業が30時間3万円の場合、10時間働いても20時間働いても同じ3万円が固定で支給されるというわけです。
残業を一切しなくても毎月固定の残業代が3万円振り込まれます。
労働者側にとってメリットがあるように見えるこの制度。
なぜ、避けた方が無難なのでしょうか?
実際の体験談から解説していきます。
【体験談】残業ありきで仕事が組まれている
実際に私がみなし残業制度を導入している会社で働いたときの話です。
その会社は中小の小売業でした。2交代制で開店から閉店でシフトが組まれます。
まず、このシフトですが拘束時間は8時間以上のシフトを最初から組まされます
前提として残業をしないと店が回らない状態なのです。
また残業ありきのシフトをこなしても、そのまま帰ることができにくい空気ができあがっていました。
「みなし残業をもらっているのだから、ギリギリまで何か仕事を見つけて働け」というのが会社の意向です。
そもそも仕事は見つけようと思えばいくらでもある
「何か仕事を見つけて働け」というのは表面上は間違っていない主張であるようにも感じます。
しかしここで問題なのは「残業をしてでも何か見つけて働け」ということです。
定時の時間中に仕事を見つけて自ら率先して業務を行うのは理解できますが、残業をしてまで何か仕事を見つけるのは効率が悪いです。
残業が重なることで疲れが溜まる
基本的に残業を毎日することが前提なので、プライベートの時間はほとんどありません。
リフレッシュする時間もないため、疲れがたまり業務効率も悪くなっていきます。
またどれだけ頑張って早く帰ろうとしても帰れないので、モチベーションも低下してゆっくり仕事するようになりました。
基本給が安い
基本給+固定残業代だったのですが、私が働いていた会社はおそらくですが基本給が最低賃金ギリギリだったように思えます。
もしかすると一緒に働いていたアルバイトの時給の方が高かったかもしれません(アルバイトも最低賃金でしたが)
なので、捉え方にもよりますが個人的には合法のサービス残業のように感じられました。
早出・休日出勤もある
残業代込みのため、早出や休日出勤も強制されます。
私のいた店舗では、店長がシフトを決めていました。
あるスタッフさん(ここではAさん)のシフトは午後からになっていたのでAさんはシフト通り午後から出勤しました。
するとAさんが出勤するなりいきなり罵声を浴びせ始める店長。
理由を聞くと「午後シフトにしても朝から入荷があるのだから、言われなくても朝一から出勤しろ」とのこと。
朝の入荷に合わせて出勤するとAさんの拘束時間は14時間ほどになります。
完全に理不尽なパワハラですが、実際にあった話です。
残業代を払わない違法な会社も多い
みなし残業代は、あらかじめ決められた残業時間を超えると、別で残業代が発生する制度なのですが、「みなし残業代は固定だから」という理屈で残業代を払わない会社も多いです。もちろん違法です。
私が働いていた会社は、月30時間だったのですが30時間を超えると役員直々に指導が入りました。
なので残業を25〜30時間で調節する人が多かったです。
残業をせずに帰っている人は皆無でした。
厚生労働省の調査
30~45時間の固定時間数が最も多い
厚生労働省の調査によると、固定残業代を導入している会社で「30時間〜45時間未満」の会社が26.7%と全体の中で最も多い数字となりました。
つまり、ざっくり計算で一日2時間近くの残業を強制される確率が高く、さらにその残業代は元々の給料に含まれているため、感覚的にはサービス残業に近いものがありました。
限度時間である45時間を超える時間数であらかじめ定額支給している会社もみられたとのことです。
残業代が追加で支払われない
また、残業代が全額支給されない理由として「基本給に含まれているため」という理由が25.2%と最も多かったです。
そのほかにも「定額で支給されているため」という理由が15.9%あり、合わせると41.1%にものぼります。
まとめ
私が実際に働いた経験からすれば、みなし残業を導入している会社では二度と働かないでしょう。
友人・知人がもしそのような会社に転職しようか迷っていれば全力で止めます。
導入している全ての会社がダメだとはいいませんが、あえてこの制度を導入している内情がよく分からない会社に飛び込むのは、もう一度考え直してからでも遅くはありません。